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高度処理型浄化槽の構造

高度処理型浄化槽は2つの仕組みで汚れた水をきれいにします。

微生物による汚れの除去(窒素等)

 合併処理浄化槽と同様、水中の微生物の働きを利用して汚れた水をきれいにします。微生物には、空気を好む「好気性微生物」と空気が嫌いな「嫌気性微生物」がいます。これらの微生物は水中の汚れ(有機物)をエサにして繁殖するため、汚れた水がきれいになります。
 浄化槽をうまく働かせるためには、微生物たちの特徴に合わせて、元気になれるような環境や条件を整えることが大切です。

化学分解によるリンの除去

 高度処理型浄化槽の最大の特徴は、微生物がきれいにした処理水から、さらにリンを除去することです。リンは別の槽に鉄を入れ、化学分解によって除去します。

 このほか流量調節機能を備え、処理水の安定化と高度処理を可能にしています。

高度処理型浄化槽の性能

 相模原市が「市町村整備事業」により設置する高度処理型浄化槽には、次のような基準が定められています。
・BOD除去機能 90%以上(20mg/以下)
・窒素(T-N)10mg/以下
・リン(T-P)1mg/以下

高度処理型浄化槽の具体例

Z社 流量調整型嫌気ろ床、担体流動ろ過方式

処理性能:放流水 BOD10mg/窒素 (T-N)10mg/SS10mg/(※) COD20mg/(※)

高度処理型浄化槽

@嫌気ろ床槽

 汚水中の固形物を嫌気ろ床槽第一室充填ろ材で物理的に固液分解し、嫌気ろ床槽第二室充填ろ材により嫌気処理を行います。流入水中の異物・油脂等が分離・貯留されます。

A生物ろ過槽

 嫌気ろ床槽処理水は間欠定量ポンプにて生物ろ過槽処理部に定量的に流入し、充填されている網様円筒担体に付着した好気性微生物により、汚れを分解します。また電極を利用した化学反応により、リンを除去します。処理水は移流管を通過後、生物ろ過槽ろ過部に流入し、処理水中のSSを分離します。ろ過部は一日一回あるいは2回の自動逆洗により、貯留したSSを嫌気ろ床槽第一室に移送します。

B処理水槽

 生物ろ過槽で処理された水は、一時的に処理水槽に滞留され、一部はエアリフトポンプで揚水され、嫌気ろ床槽第一室に循環移送されます。

高度処理型浄化槽

※COD
 化学的酸素要求量。水質を水中の被酸化性物質量を酸化するために必要とする酸素量で示したもので、酸素消費量とも呼ばれます。CODは排水基準として海域と湖沼の環境基準に用いられています。被酸化物質には、各種の有機物と亜硝酸塩、硫化物などの無機物がありますが、おもな被酸化物は有機物で、CODが高いほど有機物量が多いといえます。類似した指標にBODがありますが、BODとの違いは、CODが有機物と無機物、両方の要求酸素量であるのに対し、BODは生物分解性有機物のみの酸素要求量であるという点です。
※SS
 浮遊物質と訳され、水中に浮遊している物質の量のこと。水質指標の一つ。水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性物質の総称であり、重量濃度(mg/)で表されます。数値が大きいほど水質が汚濁されていることを示します。浮遊物質(SS)の多い水は、透視度が下がり藻類の光合成を阻害します。また、汚濁の進んだ水では有機体のSSの比率が高くなり、その有機物の分解に溶存酸素が消費されるため生態系に大きな影響を与えます。(このほかMLSSと言う指標があります。これは活性浮遊物質のことです。)