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高度処理型浄化槽は水源保護の切り札

諏訪湖の奇跡

1999年の奇跡

 1970年代の高度経済成長期以降、全国の湖沼の水質は急速に悪化し、アオコの大量発生が社会問題となりました。集水域の広い諏訪湖の状況は悲惨で、従来は「相模湖のアオコは諏訪湖の状況よりはまし」と言われるほどでした。

諏訪湖 しかし諏訪湖では、30年前に下水処理場ができて以降、水質浄化に取り組んだ結果、1999年アオコの発生が突然激減しました。それ以降も少ない状況で、湖の平均透明度も1mを超えるほどに浄化されています。

 


奇跡の要因

 諏訪湖では、昔は、家庭と事業所からのリンの流入量が多かったのですが、下水道の接続率が97%と普及したこと、また下水道の処理排水が(諏訪湖ではなく)天竜川に放流されるようになった結果、諏訪湖へのリンの流入量を大幅に減らすことが出来ました。これに伴い湖水のリン濃度がかなり減りました。
 生態系は環境が変わっても、逐一変わるわけではありません。ある時突然変わります。これをレジームシフトと言いますが、諏訪湖ではこのレジームシフトが1999年に起きました。

相模湖での期待

相模湖 私たちの相模湖でも、平成22年度から窒素・リンの排出を大幅に減らすことのできる高度処理型浄化槽の設置が市によって進められています。これをきっかけに、市民一人一人が意識を変えて少しずつ水質浄化に取り組めば、ある時突然湖がよみがえり、アオコの無いきれいな水を取り戻すことができるでしょう。

高度処理型浄化槽によって、まずい水の原因「アオコ」の問題が解決!

 「水が危ない」のページでも述べましたが、「アオコ」は毒性が強く、健康に害をもたらすだけでなく、まずい水の原因ともなります。アオコ発生の最大の原因は生活排水の流入による富栄養化で、主に窒素・リンの大量流入が原因となっています。

 相模湖町の現在の下水道普及率は、約30%です。残りの70%が浄化槽ですが、これまでは浄化槽の誤った取扱い とともに、浄化槽の性能そのものが十分でなかったため、湖の富栄養化を招いていました。しかし今後高度処理型浄化槽の導入が進むと、このような問題が一気に解決します。

 これまでの合併処理浄化槽の場合、BOD(生物化学的酸素要求量)は、30mg〜60mgでした。しかし高度処理型浄化槽を導入すると、この値が一気に10mgに改善します。窒素、リンもそれぞれ10mg以下、1mg以下まで除去されるので、まさに富栄養化防止の切り札といえます。

※BOD

 生物化学的酸素要求量とよばれ、水質の汚染度を測る指標として使われています。 水中の微生物は、有機物を分解するときに酸素を必要とします。このときの酸素の量を「BOD」と言います。水がきれいであれば分解に要する酸素の量が小さくてすみ、逆に汚れていれば酸素は多く消費されます。つまりBODの値が低いほど、水がきれいになっていることになります。

高度浄化槽のパネル
車庫に掲示された高度浄化槽の仕組みについてのパネル。毎朝出発前に知識の確認を行っています。

 

相模湖水質管理センターの取組み

 高度処理型浄化槽は、従来の浄化槽と比較して、非常に性能が高く湖の水質向上・富栄養化防止の切り札といえます。しかし構造が複雑であること、水質をシビアに測定する必要があることから、維持管理には十分な知識と技術が必要となります。
  相模湖水質管理センターでは、水質検査の研修や資格取得をいっそう促進するとともに、今後強化される水質総量規制に対応するため、窒素やリンの最新鋭測定装置を装備いたしました。 私たちは水源の街の水を守ることを最大の使命とする会社として、今後の相模原市の高度浄化槽導入の取組みに対し、万全の体制を整えてサポートしたいと考えています。

水質検査作業中